もくじ
ちょっと待ったFX!その手法は本当に正しい?
てばこさんとてばおさん、勝率はてばおさんが勝っているのに、どうして利益はてばこさんのほうが多いのでしょうか?
勝率が50%切っているならマイナスになるのが投資なんじゃないの?そう考える方もいらっしゃるかと思います。
これは極端な例ですが、「一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学」という本を出版された投資界隈では知らない人はいないcisさんの勝率はなんと3~4割程度といいます。それでも巨額の利益をだしているのは、損切りは超光速。しかし利益が伸びる時はひたすら倍プッシュという手法だからです。
今回はそのあたりを考えながら自分のトレードを見つめ直そうという回でございます。
勝率と損益率で自分のトレードを見つめ直す
さて、冒頭でてばこさんとてばおさんのだした利益の違いですが、それは「損益率」が違うからです。
損益率=勝ち平均pips ÷ 負け平均pips
これはどういうことかと言いますと、例えば勝った時の平均pipsが20pips、負けた時の平均pipsが10pipsだと、上の式に当てはめると損益率は2になります。つまりエントリーポイントを基準にした時に、利益が2と損失が1の比率。つまり2:1の「損小利大」トレードができているということです。
ここではわかりやすくするために、損益率が1で勝率70%の、1万円基準の勝ったら貰える、負けたら失うというシンプルなゲームを10回やったとして考えてみますと ・・・
勝ち | 10000円ゲット |
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勝ち | 10000円ゲット |
勝ち | 10000円ゲット |
勝ち | 10000円ゲット |
勝ち | 10000円ゲット |
勝ち | 10000円ゲット |
勝ち | 10000円ゲット |
負け | 10000円マイナス |
負け | 10000円マイナス |
負け | 10000円マイナス |
合計 | 7章3敗 40000円の利益! |
次に、損益率3の勝率50%で考えてみますと・・・
勝ち | 30000円ゲット |
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勝ち | 30000円ゲット |
勝ち | 30000円ゲット |
勝ち | 30000円ゲット |
勝ち | 30000円ゲット |
負け | 10000円マイナス |
負け | 10000円マイナス |
負け | 10000円マイナス |
負け | 10000円マイナス |
負け | 10000円マイナス |
合計 | 5勝5敗 100000円の利益! |
FXを初めて間もない方は勝率にこだわりますし、もちろんそれも間違いではないのですが、同時に損益率を上げる努力もしなければなりません。だけどここが難しいところなんですよね。
損益率を伸ばすには単純に利益確定を遅く、損切りは早くという当たり前のことをするだけなんですけれども、この損益率を伸ばすという段階は勝率が劇的に下がるので手法の見直しに走って迷宮入りするトレーダーも多く、この段階で金融市場から退場する人は数多くいます。
そりゃあそうですよね、利益がちょっと出ただけで利確、損切りを遅く粘って粘ってプラス圏になるまで持てば勝率は上がりますし、初心者の方のほとんどがこういう取引方法です。これを根底からひっくり返せって言ってるわけですから難しいのは当たり前です。
ここの壁は、こちらの記事で紹介した正しい検証結果のデーターが無いとなかなか乗り越えられません。
バルサラの破産確率
さて、せっかく損益率についての考えが深まったのでここでもう1つコマを進めましょう。こちらの表はバルサラの破産確率と呼ばれるものです。これはナウザー・バルサラという数学者が考案したものなんですが、先程の勝率と損益率に、損切りの資金割合を加えるとトレードを続けた場合の破産率がわかるんです。(損切りは資産の10%で計算しています)
こちらの表で気になるところは黄色いセルの勝率50%で損益率が1だと99%の確率で破産してしまうところですね。しかし損益率が3あれば勝率は45%でも安全圏ですので、損益率を上げることの重要性がわかるかと思います。
一般的に破産確率は1%以下が望ましいとされていますので、初心者の方には表の緑色の部分を目指していただくことになります。
冒頭のてばおさんの場合、勝率70%で利益5000円利益がでていましたが、表を見るとよほど変な取引をしない限りは安全圏ですね。逆にてばこさんは勝率5割を切っていたので3以上の損益率が求められるところですね。
損益率をあげるためにはどうすればよいのか?
さきほども書きましたが、勝率は素早い利確、遅い損切りでどんどん上がります。逆に損益率は遅い利確、素早い損切りでどんどん上がります。この2つは相反するものなんですね。しかし下記の記事にも書きましたが、初心者は利益が乗るとすぐに利確してしまうプロスペクト理論に支配されていますので勝率に比べて損益率を伸ばすことは難しいです。
では損益率をあげるためにどうすればよいのか?
まず絶対条件としてエントリーの時に利確と損切りする位置は決めていなければいけません。
てばこさんの場合、ロングエントリーでしたら利確の位置は目標金額近くにある抵抗帯の少し下に、損切りは大きなサポートの少し下に置きますが、この時にエントリー位置から利確までの距離と損切りまでの距離を測り、きちんと「損小利大」になっているかどうか確認してからエントリーしなければいけません。
そして自分で決めたエントリー条件が完璧に揃った場面がきても「損小利大」ではない位置ならばエントリー不可です。それは勝率は上がるポイントかもしれませんが、損益率は下がるエントリーである可能性が高いということです。
ですのでエントリーに関しては指値でも成行注文でもどちらでも構いませんが、利確と損切りは必ずOCO注文(利確と損切りの指値を予め同時にだしておける注文)で指定するべきです。
スタイルが1分足でのスキャルピングならば利確と損切りが成行注文でも仕方ないですが、5分足以上での取引でしたらスキャといえどもOCOを使ったほうが損小利大を意識できるのでおすすめです。
なんで利確の位置と損切りの位置があらかじめわかるんですか?
利益と損切りの位置はどうやって決めるんですか?と良く聞かれることがあります。しかしコレに関してはだれも正解はわからないんですよね。
考え方としてはロングエントリーではいるとして、チャートの左側を見て、これから先がレンジで戦ったところを通過しなければいけなかったり、上位足での直近高値があったりしたらそこを超えるのは難しいから利益確定はその少し手前でしようと考えたり、逆にレンジがなくて一気に動いた場所だったら、そこは抵抗が弱くすんなり超えるだろうから利確はもう少し先まで伸ばすとか。そういった考えで利確や損切りの位置を考えます。
例としてチャートの画像を載せましたが、この考え方が正解かどうかは人によって変わります。また、どれだけ精査して自信があるエントリーでも逆に行くのが相場というものです。
しかしエントリーの時にこのように「損小利大」を考えることによって、取引後にのこるデーターを検証する際に「ちゃんと損小利大ではいれていたか?」という疑問が生まれます。色々な方の検証を見てきましたが、その部分がすっぽり抜けている方がとても多い印象です。ほとんどの方が検証の際に勝率にしかスポットを当てていないんですよね。それでは生き残ることはできません。
なんとなく成行で利確、なんとなく成行で損切りしていると、データーはいつまでたっても集まらず取引の精度は上がりませんので、「エントリー時に損小利大」を考えることはトレードに置いて超重要項目として考えてください。今回の記事も結局はそれが言いたかっただけなのですよ。ふっ。
【FX④】利益を減らせば勝率は上がる。利益を増やせば勝率は下がる。 まとめ
夢は近づけば目標に変わる(イチロー)