もくじ
バンコクのスネークファームで予防接種
バンコクにはスネークファームという、ヘビの動物園のような施設があります。しかしもちろんただの動物園ではなく、運営目的はヘビ毒の血清の作成や研究をする機関でございます。
そしてスネークファームお隣にはタイ赤十字病院が併設されており、ここは予防接種を安くて手軽に打てる病院として世界的に有名なのです。
まあ普通の観光でしたらわざわざバンコクで予防接種なんか打たない人が大半だとは思いますが、長期旅行者はこのスネークファームで予防接種を打ってから世界旅行に出る人が多いんですよね。なぜなら世界には、国によっては予防接種を打っていないと入国させてもらえない場所がたくさんあるんです。
例えば、ウユニ塩湖で有名なボリビアや赤道直下にあるエクアドルなどは黄熱病のワクチンを受けたことを証明する国際予防接種証明書が必要になります。(黄熱病は一度打つと生涯有効なんでこの機会にぜひぜひ)
特にアフリカと南米地域にいく人は、病院が推奨しているワクチンだけで6~7種類は打たなければいけませんし、実際に予防接種を打っていなかったせいで、とんでもないことになった人たちもたくさんいます。
そういったわけで、今回はバンコクで予防接種を打とう!というお話です。
バンコクで予防接種を受けるメリット
バンコクにわざわざ行かなくても、日本で予防接種を受けることはもちろん可能です。
しかしスネークファームが旅人たちから支持されている理由は、値段が安いこと以外にも次の3つがあります。
・予約なしで、行った当日にすぐ予防接種を打てる
・スネークファームだけで20種類以上のワクチンを保管している
・1日に4種類のワクチンを打つことができる(副作用もたまにあり)
日本で数種類の予防接種を受けようとする場合、1度に最大でも2種類までしかワクチンを打たせてもらえず、すべてのワクチンを打ち終わるのに相当な期間がかかってしまいます。
特にてばおさんが以前住んでいた福井県や、てばこさんが住んでいた長野などはワクチンが揃っている病院が多くないため、いくつかの病院を転々としなければいけませんが、スネークファームだけで20種類以上の予防接種ができるの魅力的です。
また、日本で黄熱病の予防接種を受ける場合、一回1万円ほどのコストがかかります。しかし、スネークファームで受ける場合は2019年時点で1200バーツ(4800円)と半額程度に抑えることができます。
ちなみに副作用ありと書いてありますが、赤十字病院の先生の話によると重大なものはここ数年起きていないようなのですが、てばこさんは初回の黄熱病、日本脳炎、狂犬病1回目、A型B型肝炎混合ワクチンを打った夜に、軽微の熱と体のだるさが半日程度でました。
念の為に予防接種の当日と次の日は運動などの予定は控えたほうが良いかと思われます。
心配なのがタイの医療レベル
バンコクで予防接種をするにあたって心配になるのがやっぱり医療レベル。
海外で、特にアジアでの一番の心配事ですよね。しかしバンコク。実は世界でも医療水準の高い東京都比べても実は遜色のないレベルにあるんです。
上のデータはNUMBEOというデータバンクの東京都とバンコクの医療レベルの比較データなんですが、正直あんまり変わりません。
この数字ってちゃんと正しくでてるの?実は1ポイントの差ってとんでもなく大きいんじゃないの?って心配な方には一応下にイギリスのロンドンの医療レベルのデータを載せてみますと・・・
出典:NUMBEO
残念ながらイギリスのロンドン、こちらはタイに大差をつけて負けています。実際てばこさんはロンドンに1年ほど住んでいて何回か病院にも行きましたが、肌感覚としてこの数字に近いものがあるとの事です。
まあこういうデータが全てではないですが、実際にバンコクで予防接種を受けた感じとしては、日本と遜色ないかと思います。
ですので過度な心配はしなくてもよろしいかと思いますよ。
タイで推奨される予防接種
世界旅行者ならば、訪れる予定がある国によってワクチンが変わりますが、ひとまずここではタイ旅行で推奨されているワクチンを紹介しておきます
赴任者に必要な予防接種
成人:A型肝炎,B型肝炎,破傷風は必要です。腸チフス狂犬病,日本脳炎はできれば接種してください。黄熱リスク国からの転勤(9時間以上のトランジットを含む)では入国時にイエローカード(黄熱ワクチン接種証明書)の提示を求められます。小児:日本で定期予防接種として行われているものは必要です。また,任意接種とされているもののうち,水痘,おたふく風邪,A型肝炎,の接種も薦められます。狂犬病腸チフス(2歳以上)もできれば接種して下さい。
引用:外務省HP
A型肝炎は食事やお水から感染しますので、屋台が多いタイでは短期旅行でも予防接種を推奨されています。症状は発熱、下痢などで、完治まで1ヶ月以上かかります。
B型肝炎は性交渉による感染がありますので、夜遊び目的の方は注意が必要です。潜伏期間も最大6ヶ月とかありまして、症状としては食欲不振や倦怠感ですが、一部劇症化して亡くなる方もいらっしゃいますので注意が必要です。
破傷風は世界中の土の中に存在するどこにでもある菌です。バンコクをサンダルで歩いていて地面で擦り傷を作ったとか、犬に噛まれたりとか日常で感染るリスクは非常に高いです。症状としては痙攣、呼吸困難、脳炎など重いものが多く、死亡率も高い病気です。
スネークファームで接種できるワクチンの種類
ワクチンの名前 | 価格 | 有効期限 |
ジフテリアと破傷風 (Tetaus+Diphtheria/dT) |
65バーツ(260円) | 10年 |
傷口などから体内へ侵入する細菌。海外へ渡航するすべての人向け。 | ||
百日咳・破傷風・ジフテリアの3種混合 (Tdap/Adacel) |
650バーツ(2600円) | 10年 |
傷口などから体内へ侵入する細菌。海外へ渡航するすべての人向け。 | ||
百日咳・破傷風・ジフテリア・ポリオの 4種混合(Tdap-polio) |
700バーツ(2800円) | 10年 |
傷口などから体内へ侵入する細菌。海外へ渡航するすべての人向け。 | ||
A型肝炎 (Hepatitis A) |
1500バーツ(6000円) | 5年(2回摂取) |
HAVによって発症するウイルス肝炎。アジアやアフリカに渡航する人向け。 | ||
B型肝炎 (Hepatitis B) |
800バーツ(3200円) | 5年(2回摂取) |
HBVによって発症するウイルス肝炎。アジアやアフリカに渡航する人向け。 | ||
A型B型肝炎混合ワクチン (HepatitisA/B Twinrix) |
1150バーツ(4600円) | 5年(3回接種) |
A型・B型肝炎ワクチン2つの混合、2回摂取で80%有効な免疫つきます。 | ||
ヒトパピローマウイルス (HPV) |
2500バーツ(10000円) | 6年 |
子宮頸がんなど女性特有の病気を予防するワクチン。日本で無料定期接種あり。 | ||
インフルエンザ | 370バーツ(1480円) | 3ヶ月~半年 |
インフルエンザウイルスに感染し、人から人へうつる感染症。すべての人向け。 | ||
日本脳炎 (JE/IMOJEV) |
450バーツ(1800円) | 5年 |
蚊によって媒介されるウイルスがもとに発症する感染症。主にアジアに渡航する人向け。 生ワクチンと普通のワクチンと2種類あり、値段はほぼ同じ |
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髄膜炎菌 (Meningococcal conjugate/Menactra) |
2450バーツ(9800円) | 5年 |
脳や脊髄を覆う膜に付着して炎症する病気。すべての人向け。 | ||
麻疹(はしか)・風疹・おたふくかぜの 3種混合(MMR) |
350バーツ(1400)円 | 20年~ |
昭和37~54年生まれの男性は現在、日本で無料で風疹のワクチンが打てます | ||
肺炎球菌 (Pneumococcal vaccine) |
2300バーツ(9200円) | 5年 |
肺炎の原因となる細菌。すべての人向け。 | ||
ポリオ (Polio) |
420バーツ(1680円) | 10年 |
人の口から腸へ入り、人から人へうつる感染症。 南西アジア(パキスタンなど)やアフリカへ渡航する人向け。 |
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狂犬病 (Rabies/Verorab) |
350バーツ(1400)円 | 3年(2回接種) |
動物に噛まれるなどで発症する感染症。海外へ渡航するすべての人向け。 | ||
破傷風 (Tetaus) |
400バーツ(1600円) | 10年 |
傷口から体内へ侵入する細菌。海外へ渡航するすべての人向け。 | ||
腸チフス (Typhoid/Typbar-PFS) |
650バーツ(2600円) | 3年 |
口から菌が侵入して腸に影響を及ぼす感染症。主に途上国へ渡航する人向け。 | ||
水痘(みずぼうそう) (Varicella) |
900バーツ(3600円) | 20年 |
ウイルスの感染によって発症する伝染病。 日本でも感染する可能性があるため、すべての人向け。 |
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黄熱病 (Yellow Fever/Stamaril) |
1200バーツ(4800円) | 50年(生涯) |
蚊によって媒介されるウイルスがもとに発症する感染症。 アフリカや南米に渡航する人向け。 |
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コレラ (Cholera(oral)) |
760バーツ(3040円) | 2年 |
汚染された水や食べ物を摂取することで発症する感染症。 インドやアフリカに渡航する人向け。 |
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デング熱 (Dengue) |
2930バーツ(11720円) | 不明部分多い |
蚊に刺されることによって発症する感染症。アジア・アフリカ・南米に渡航する人向け。 |
※1バーツ=4円で計算
予防接種時にワクチン代金以外にかかる金額
診察料:50バーツ(200円)
注射を受けに行く度に必要になります。(ワクチン購入時に加算されます)
登録料:20バーツ(80円)
初回の問診票をだす時に必要となります。
実際にスネークファームで予防接種を打ってきました
こちらはワクチンの領収書
黄熱病(Yellow Fever/Stamaril):1回
日本脳炎(JE(Live)/IMOJEV):1回
狂犬病(Rabies/Verorab):2回(1回目と2回目では1週間空ける必要があります)
A型B型肝炎混合ワクチン(HepatitisA/B Twinrix):3回(1回目と2回目では1カ月、2回めと3回目は6ヶ月空ける必要があります)
百日咳・破傷風・ジフテリアの3種混合(Tdap/Adacel):1回
腸チフス(Typhoid/Typbar-PFS):1回
予防接種のスケジュール
1回目(4月10日):黄熱病、日本脳炎、狂犬病1回目、A型B型肝炎混合ワクチン1回目
2回目(4月17日):狂犬病2回目、百日咳・破傷風・ジフテリアの3種混合、腸チフス
3回目(5月10日):A型B型肝炎混合ワクチン2回目(3回めは半年後)
※狂犬病は2回、(2回目の予防接種を最低でも1週間空けて打つ必要があります)
※A型B型肝炎混合ワクチン3回接種は期間が離れているので、同じワクチン(HepatitisA/B Twinrix)でしたら他の国や日本で打つことも視野に入れましょう。
スネークファーム(赤十字病院)の行き方
こちらがスネークファームの場所
今回は地下鉄MRTのSam Yan駅から行きました。
ほぼチュラロンコーン大学の敷地内です
噴水の奥にある建物がタイ赤十字病院
建物のすぐ隣にキャッシングができるATMがあるので、お金が足りなくても安心
MRTのサムヤン駅(Sam Yan)はタイの最高学府であるチュラロンコーン大学用の駅なので学生さんたちがたくさん利用しています。サムヤン駅と地下で大学の食堂がつながっていますので、安くご飯を食べることも出来ます。
また、MRTのシーロム駅(Si Lom)やBTSサラディーン駅(Sala Daeng)からも歩いて向かうことができます。
スネークファームのお昼休憩は要注意
お昼は予防接種をやってくれませんよ
スネークファームの営業時間
月曜日~金曜日:朝8時30分から午後12時 午後2時から夕方4時30分
土曜日:朝8時30分から午後12時
日曜日・祝日:お休み
平日の午後12時から午後1時まではお昼休憩となっていて、この時間は受付もできないので注意が必要です。
また、お昼休憩中はかなり混むので時間を外して行った方がいいです。
手羽先2匹は午後12時に病院に着いてちょうど休憩時間に被ってしまい、1時間ほど診察室前のベンチで待ちました。
さらにこの時期はハイシーズンだったので、観光客の方も多く、トータル4時間位かかってしまいました。
予防接種前の準備
こどもの時に打っている予防接種は母子手帳から確認ができます。そのため、事前に母子手帳でどのワクチンをどの時期に打っているか見ておくとよいです。
幼い時に打ったワクチンは日本脳炎やポリオなど抗体持続期間(有効期限)が短いものが多いので、ほとんどが改めて接種することになります。
また、英語でカウンセリングを受けることになるので、打ちたいワクチンがあらかじめ決まっている場合はワクチンの英語名を、さらに質問したいことがあれば事前に準備しておくとお医者さんとのお話もスムーズです。
予防接種当日の持ち物
パスポート(診察券作るのに必要)
お金またはクレジットカード(ATMで引き出し用)
病院ではクレジットカードでの支払いに対応していないので、現金を必ず持参するか、お隣にあるATMで現金を出しておく感じです。
予防接種を受ける手順
まずは問診票に記入
病院の正面入り口から入って左側に用紙が置いてあります
Patient Information(問診票)
問診票は2枚記入
病院の正面入口から入るとちょうど1番ドアの辺りが見えるのですが、その前あたりに問診票がありますので2枚に必要事項を記入の上、1番の扉内にある受付で提出します。
ちなみに1番扉の中にも問診票が置いてありますので、どちらで書いてもOKです。
2022年7月追記
現在はコロナの影響で受付手順が変わっています。病院の正面入口から入ると小さな特設受付ができていますので、まずそこでコロナウィルスに関するアンケートの記入が必要です。
内容は隔離期間中ではないとかの質問で、少しむずかしいのでグーグル翻訳を持っていったほうが良いです。
その後、紙を提出してスタッフさんがどの窓口へ言ったら良いか教えてくれます。
続いて診察券の料金をお支払い
こちらが受付がある1番部屋の入口
入ってすぐ受付があります
ここにも問診票があります。ここで記入してもOK
この診察券をもらえるまで受付で待機
この受付で先ほど記入した問診票2枚とパスポート、登録料の20バーツ(80円)を渡します。
この時に希望するワクチンを聞かれるかもしれませんが、決まってなければ「わからない」と言えば問題ないです。後ほどお医者さんと一緒に相談して決めますので。
ちなみにお昼休みが終わった直後は行列ができますので、休憩が終わる5分くらい前にはドアの前に並んでおきましょう。
当日の体調チェック&カウンセリング
受付の隣の部屋で体温と血圧を測定してもらいます
さらにお隣のお部屋
お医者さんとどのワクチンを打つか相談です
体調チェックは血圧と体温チェックのみです。混んでいる場合はどんどん流れ作業で回されますので、名前が呼ばれるのを聞き落とさないようにしましょう。
この血圧チェックが終わると普通に外にでてしまう人もいらっしゃいますが、ワクチンが決まっていない人は、さらに奥の部屋で先生と一緒に打つワクチンを決めますよ。
4番のお部屋に移動します
こちらが注射を打ってもらう部屋
こちらが処方箋(ワクチン注文表)
こちらの部屋が注射を打つ部屋なんですが、最初の1回目はここの受付の人が、さきほどの部屋でお医者さんが書いてくれた処方箋をもとにワクチン注文表を書いてくれます。
で、ゆっくりする間もなく、すぐに「5番の窓口へワクチンを買いに行ってね」と部屋を追い出されます。
5番の窓口でワクチンを購入
こちらにさきほどのワクチンの処方箋を渡します
ここが一番待たされるんですよね
小さい窓口から注文表をを渡すと、看護師さんが指定されたワクチンを出してきてくれてお会計となるのですが、混雑している日はここで一番待たされます。
写真は全員注文表を提出して、ワクチンがでてくるのを待ってる人たちです。
たまにワクチン売り切れなんかもあります。まあ大人しく待つしか無いのです。
ワクチン購入は現金でのお支払いのみなので準備しておきましょう。
ワクチンを受け取り、予防接種
ワクチンはこんな感じで渡されます
4番の部屋に入って左手にいる看護師さんに購入したワクチンを箱ごと渡します
椅子で待っていると名前を呼ばれます
部屋に入るとさっそく予防接種です
5番の窓口でワクチンを購入できたらあとはスムーズです。4番の部屋に戻ってワクチンを受付で渡したらすぐに名前を呼ばれて、看護師さんが腕に消毒してくれてブスブスやってくれます。
1日4発まで打てますので副作用ある人もいますが、死んだ人はいないのでリスク承知でいきます。
看護師さん達は皆さん「チクットスルネー」とか「コレイタイイタイー」とか片言の日本語で話しかけてくれるフレンドリーな方たちです。
しかしそれにしても速くてお上手。毎日ひたすら打ってますからねぇ。
打ったワクチンを国際予防接種証明書に記入してもらう
国際予防接種証明書
黄熱病以外にも接種したワクチン名と日付が書かれています
2回以上の予防接種がある場合の簡単なスケジュール表
打ち終えたら、あとは国際予防接種証明書をもらって終了です。
黄熱病の予防接種を受けた日時はこの証明書に記載されるので、ワクチン接種が入国の際に必要な国でこれを提出してくださいね。
Twinrix(A型B型肝炎混合ワクチン)とRabies(狂犬病)は2~3回予防接種を受ける必要があるのですが、それぞれ一定期間空けないといけません。
2回目以降の日付はスケジュールに書かれていますので2nd doseの欄に書かれた日程に行くようにしてくださいね。多少日にちが遅れるのは問題ないのですが、タイといえども早めに受けることはできないみたいですよ。
2回目以降に予防接種を受ける手順
2回目以降も手順はほとんど同じ流れとなります。
- 受付で診察券と国際予防接種証明書を提出する
- 体温と血圧を測定
- 4番の部屋でお医者さんと今から受けるワクチンについての説明を受ける
- 5番の部屋でワクチンを購入する
- 4番の部屋でワクチンを打ってもらう
この手順でスムーズにいけば1時間とかからずに予防接種は完了します。
あとはもし時間に余裕があるなら、副作用が出る可能性があるので病院で少し休むようにしましょう。お医者さんも15分から30分は安静にするように案内をしていました。